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大阪地方裁判所 昭和41年(行ウ)2号 判決 1969年5月13日

原告 田村貞雄

被告 豊能税務署長

訴訟代理人 北谷健一

主文

被告が原告に対し、昭和三九年一〇月一九日付でなした昭和三八年分所得税の更正決定のうち総所得金額金四九一、〇一四円五〇銭を超える部分および過少申告加算税賦課決定のうち右総所得金額に対応する額を超える部分は、いずれもこれを取消す。

原告その余の請求は棄却する。

訴訟費用はこれを四分し、その一を原告の、その余を被告の各負担とする。

事実

第一、当事者双方の申立

(原告の申立)

被告が原告に対し、昭和三九年一〇月一九日付でなした昭和三八年分所得税の更正決定および過少申告加算税賦課決定はこれを取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

との判決を求める。

(被告の申立)

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

との判決を求める。

第二、当事者双方の主張ならびに答弁

(原告の請求原因)

一、原告は箕面市内で生菓子の製造小売業を営んでいる者である。

二、本件訴までの手続は左のとおりである。

原告の昭和三八年分の所得税につき、

原告 昭和三九年三月 確定申告(所得金額金三五〇、〇〇〇円、税額〇円)

被告 同年一〇月一九日 更正決定(所得金額金七六五、〇〇〇円、税額金三九、七五〇円)

過少申告加算税賦課決定(税額金一、九五〇円)その頃原告に通知

原告 同年一一月二〇日 被告に対し異議の申立

被告 昭和四〇年二月一五日 右棄却決定、その頃原告に通知

原告 同年三月一六日 大阪国税局長に対し審査請求

同局長 同年一〇月八日 右棄却の裁決

同年同月九日 右裁決書原告に送付

原告 昭和四一年一月八日 本件訴提起

三、しかし、原告の本件年分の所得金額は、後記のとおりであるから、右更正決定および過少申告加算税の賦課決定はいずれも違法である。

四、又、被告は、原告の申告にかかる所得金額が低いとの単なる推測のもとに何らの調査もなさず、もしくは十分な調査をなさずに右の各処分をなしたものであるからこれらの処分はいずれもその手続において違法たるを免れない。

よつてその取消を求める。

(原告の請求原因に対する被告の答弁)

第一、二項の事実は認める。第三、四項は争う。

(被告の主張)

一、原告は、箕面市内の桜井スーパー・マーケツト内および同市百楽荘一の九三所在の店舗において、「みつわ」なる屋号をもつて生菓子の製造小売業を営む者である。

二、原告は、本件年分の事業所得金額計算の資料となる諸帳簿を全く備付けず、僅かに仕入・経費関係の領収書等の一部を所持しているに過ぎなかつた。そこで、被告は、原告の取引先等について調査して得た資料および原告本人の申立て等に基づいて、原告が提示した所得計算書等を検討した結果、原告の申告にかかる課税標準額がその調査したところと異なつたので本件更正処分をしたのであるが、その後さらに検討したところ、原告の本件年分の収入並びに経費は別紙(一)被告主張欄のとおりであり、その事業所得金額は金一、二八九、五二六円であることが判明した。(別紙(一)被告主張欄参照)

したがつて、原告の昭和三八年分の総所得金額を右の所得金額の範囲内で金七六五、〇〇〇円と認定した本件更正処分はもとより適法であつて、同処分の取消しを求める原告の本訴請求は理由がない。以下後記原告主張の金額からみて争のある点(別紙(一)争の有無欄参照)について詳述する。

三、原告の本件年分の収入金額三、二七七、六六四円

原告は、当該年度における収入金額に関する商業帳簿等を備えつけていなかつたので、被告は生菓子製造の主原料である生餡の仕入数量と原告の申立て等に基づいて次のとおり計算した。

(1) 、原告は川西市小戸鳥頭羽一、角野製餡所から本件年中に五三五貫(一貫は三・七五キログラム以下同じ)の生餡を仕入れている。

(2) 、原告の申立によれば、原告が使用する餡は生餡貫当り七〇〇匁(一匁は三・七五グラム以下同じ)の砂糖を加えて炊きあげたものである。しからば本件年分の餡の炊きあげ量は次の算式により九〇九・五貫となる。

(算式) 535貫×1.7=909.5貫

(3) 、そうして同業者について調査したところによれば、饅頭等の和菓子に使用される餡の量は通常一個あたり六匁であるから、右の加工された餡の量より製造個数が計算されこれに単価(一〇円)を乗ずることにより次のとおり餡を使用する生菓子の売上高を算定することができる。

(算式) 909.5貫÷6匁=151,580(但し10未満は切捨て)

151,580×10円=1,515,800円

(4) 、原告方における餡を使用する製品の売上高は生菓子全体の売上高の五〇%程度であるから(3) の金額より生菓子全体の売上は次のとおりとなる。

(算式) 1,515,800÷0.5=3,031,600円

(5) 、また、原告方における餅の賃づき加工量は年間一〇石で、加工賃は一升当り一二〇円であるから、その収入は一二〇、〇〇〇円である。

(算式) 1,000×120円=120,000円

(6) 、原告は右以外に洋菓子を仕入販売しており年間一二六、〇六四円の売上高がある

以上、和菓子売上高、賃づき餅加工賃、洋菓子売上高を合計すると原告の本件年分の収入金額は三、二七七、六六四円となる。

四、減価償却費一二、四八七円

原告が昭和三八年一一月に取得した軽三輪車についての減価償却額で計算は次のとおりである。

(車輛価額)   (残存価額)(耐用年数3年の償却率)(使用月数)

{250,000円-(250,000円× 0.1 )} ×0.333×2/12=12,487円

(但し円未満は切捨て)

五、なお昭和四二年八月一日と同四三年五月一日の二度にわたり、原告方店舗において購入した一〇数種類の饅頭の中に含まれている餡を計量したところ一個当りの餡の重量の平均値は六・五匁であつたのでこれを基礎として夏場における餡の廃棄割合を二割であるとし、また総収入金額が餡を使用した饅頭の二倍であるとすると、原告の収入金額は、つぎの算式のとおり、金二、七八五、九二〇円となり、これより普通経費金一、六八六、〇三八円および特別経費金三〇二、一〇〇円を差し引くと、所得金額は金七九七、七八二円と算出される。

(算式)

(売上に使用された餡の量)(1個当り餡使用量) (製品量)

905貫425匁   ÷  6.5匁  =139,296個

(売上単価) (製品量)  (餡を使用した饅頭の売上金額)

10円 ×139,296個=1,392,960円

(売上割合)   (総売上金額)

1,392,960円÷ 50%  = 2,785,920円

したがつて、いずれにしても、右所得金額の範囲内でなされた本件更正処分は正当である。

(被告の主張に対する原告の答弁および反対主張)

被告主張一項は認める、同二項中本件年分の事業所得金額計算の基となるべき諸原始記録が不備であつた点は認めその余は全て争う。

原告の昭和三八年分の所得(収入および諸経費)は別紙(一)原告主張額欄記載のとおりである(同争の有無の欄の○印は被告の主張を認めたもの、×印は争うもの)から、本件更正処分には原告の所得金額を過大に認定した違法がある。

つぎに、本件の主たる争点である収入金額についての被告の主張に対して次のとおり反論する。

被告主張三項中(1) 、(2) は認めるが、(3) のうち単価は認めその余は争う。原告方で饅頭等の和菓子に使用される餡の重量は、平均一個あたり八匁であつて、これにより餡を使用する和菓子の製造個数を算出し、単価一〇円を乗ずれば、右売上高は次のとおりである。

(算式)

909,500匁÷8匁=113,687.5(原告は113,685となすが計算違と思料する)

113,687.5×10円=1,136,875円

(4) も争う。餡を使用する製品の売上高は、原告方年間全売上高五〇%程度であつて、被告の主張するごとく和菓子の売上高(全売上高から餅の賃つき料ならびに洋菓子の売上高を除外したもの)の五〇%ではない。(5) 、(6) の計算自体は認めるが、右は被告主張のごとく和菓子の売上高に追加計算すべきものではない。

従つて、原告方の本件年分全売上高は、金一、一三六、八七五円の二倍程度となるべきところ、売残り廃棄分もあり、別紙(一)原告主張欄記載のとおり金二、一八三、五七六円となるのである。

第三、証拠関係<省略>

理由

一、原告の請求原因一、二、被告の主張一は当事者間に争いがない。

二、そこでまず本件更正決定および過少申告加算税の賦課決定は何らの調査、もしくは十分な調査に基づかずになされたので手続上違法であるとの原告の主張について判断する。

<証拠省略>ならびに弁論の全趣旨によると本件年度の申告期限の後である昭和三九年七月上旬頃被告の部下職員である右川崎は、本件年分の原告の所得税につき事後調査のため桜井スーパーマーケツト内にある原告方店舗を訪れ、同マーケツト内の事務所において原告方製品の主原料である生餡の仕入量、仕入先、餡入り饅頭の総売上高に占める割合等の原告の営業内容につき原告より聴取り調査を行い、その二、三日後に、生餡の仕入先である角野製餡所において原告の申立額について反面調査を行うとともに、豊中市内にある原告の同業者方において単価一〇円の饅頭一個の中に含まれる餡の量につき聴取り調査を行い、被告は右調査結果に基づき本件更正決定をなした事実が認められ原告本人尋問の結果中右認定に反する部分は信用できず他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

しかして、国税通則法は更正決定をなすについての調査の方法、内容、程度等を規制する何らの規定を設けていないところよりみれば、更正決定をなすについては右認定の程度の調査をもつて足りるものと解すべきであつて、本件更正決定およびこれにともなう過少申告加算税の賦課決定は手続上違法であるということはできず、原告の主張は理由がない。

三、次に本件年分の原告の所得金額について検討する。

(一)、本件年分の原告の収入金額(被告主張額金三、二七七、六六四円、原告主張額金二、一八三、五七六円)

原告の本件年分の収入金額の実額を把握するに足る帳簿、原始記録等の備付け、保存がなされていないこと(推計課税の必要性)、生菓子製造の主原料たる生餡の仕入量より、餡を使用する和菓子の売上を推計し、右売上高が全売上高に占める割合から、原告の本件年分の収入金額を推計することの合理的なこと、本件年分の原告の生餡の仕入量が五三五貫であつて、餡の炊きあげ量は、右生餡に貫当り七〇〇匁の砂糖を加えて炊きあげるから九〇九、五貫となることは当事者間に争いがない。

(1)、餡入和菓子の売上高の推計

被告は、饅頭等の餡入り和菓子(単価一〇円の)に使用される餡の重量は通常一個あたり六匁として、右炊きあげた餡の総量九〇九、五貫を右六匁で除して、年間製造個数を一五一、五八〇個と推計計算し、これに、右饅頭の単価一〇円を乗じて、原告方の本件年分の餡入和菓子の年間売上高を一、五一五、八〇〇円と推計するところ、原告は原告方の本件年分の餡入饅頭(単価一〇円)に使用された餡の一個あたりの重量は八匁であり、しかも製造品のうちには売残り品もあり、そのうちには再生不能で廃棄するものもあるとして、右推計計算の合理性を争う。

(イ)、よつて、先づ饅頭一個あたりの餡の使用量について判断する。

被告は、同業者について調査したところによれば饅頭一個当りの餡の使用量は通常六匁である旨主張するので検討する。

<証拠省略>によると、昭和三九年七月上旬頃、本件年分の原告の所得税につき原告方を事後調査するに際し、被告の部下職員たる右川崎が、豊中市内の商店街にある原告の同業者(単数)から、一〇円単価の生和菓子(饅頭)に使用する餡の重量は通常六匁と聞知した(本件全証拠に照らすも右質問ならびに回答の方法、内容および右同業者方において製造される饅頭の種類、売れ行き等の営業内容を窺知し得ない)ところに従つて、原告方店舗内の餡入饅頭の餡の量を検討することもなく前記推計計算をなしたことが窺える一方、<証拠省略>によれば、原告方においては一四、五種類の餡入饅頭を作つていたこと、原告はスーパーマーケツト内に一ヶ所、商店街に一ヶ所の店舗をもつていたが、一般に市場内の店舗においては、商店街の店舗に比較し、餡を多く使用した種類の饅頭(高級和菓子は皮に工夫が凝らされ、餡の使用量は少なくなる)が多く売れること、饅頭に入れる餡の量は、その店の方針により同一種類であつても店によりかなり相違すること一般的に饅頭製造の際に中に入れる餡の量を計算することなく長年の勘から目分量で入れており、しかも饅頭の種類により餡の量には較差があるので一個あたりの饅頭の通常の重量(種類、販売量に応じてならしたもの)を質問されても俄に正確には答え難いことが窺え、(しかも、被告提出にかかる<証拠省略>によつても、原告方には-本件年内ではないが-原告主張の八匁をも上廻る種類の饅頭が存在することが認められる)右認定に反する証拠はない。

しかして、右認定事実によるときは、右川崎の調査結果のみによつては、本件年分における原告方餡入饅頭の餡使用量を六匁と断定することは到底できず、これを根拠とする被告の主張は採用できない。

次に原告方店舗において購入した饅頭について計量したところ一個当りの餡の量は平均六・五匁であつたとの被告主張の点について検討する。

<証拠省略>(右各号証をあわせて以下本件検査書として指摘する。)および原告本人尋問の結果によれば、昭和四二年八月一日および同四三年五月一日の二度にわたり大阪国税局職員が桜井スーパー内にある原告方店舗において販売されていた合計二〇種類の餡入り饅頭を購入してその中に含まれる餡の重量を計量した上、購入時毎に平均値を出し、これに夏場と冬場の売上量を考慮して加重平均したところ饅頭一個当りの餡の重量が六・五匁であると算出されたこと、原告方における饅頭の大きさおよび餡の使用量は本件年分と右各検量時との間において変化はないことが認められる。しかしながら本件検査書によれば、検量の対象となつた饅頭一個当りの餡の量は最も多いもので一三・六匁(梅干饅頭)、最も少いもので三・二匁(さくら餅)とその間に大きな開きがあり、その余の饅頭の餡の量も一定せず右最大量と最小量の間において一様に広く散在していることが認められること、原告本人尋問の結果によれば原告方でよく売れるのは田舎饅頭、羽二重餅などであることが認められるが、本件検査書によれば田舎饅頭の餡の量は平均九・六匁、羽二重餅の餡の量は平均七・七匁といずれも被告主張の六・五匁より多いことなどの事情を考慮するならば、前記方法により算出された六・五匁をもつて直ちに原告方の年間を通じての饅頭の総売上量における一個当りの餡の重量となしえないものといわなければならない。

してみれば餡の使用量に関する被告の主権は、いずれもその算定の根拠に合理性が認められないので採用することはできない。

そこで更に饅頭一個当りの餡の量は八匁であるとの原告の主張について判断する。

原告は、本人尋問において、原告方において製造する饅頭一個当たりの餡の重量は八匁である旨を供述しているが、右重量は、原告自身の供述によつて明らかなとおり、計量する等によつて確認したわけのものではなく、原告の単なる勘に基づくものである。しかしながら原告方における饅頭一個当りの餡の量を確認しうる証拠は存在しないし(<証拠省略>中には、同人方の饅頭一個当りの餡の量は七匁である旨の供述はあるが、同人の供述自体計量等の確かな根拠に基づくものでないうえ、原告の店舗は市場内にもあり商店街にある右大島の店舗におけるより大衆的であつて餡を多く使用した饅頭の売行きが良好である旨の同人の供述を考慮すれば、右の七匁をもつて原告方の餡の量とはなし難い。)、本件検査書によれば、八匁よりも餡の量が多い饅頭が数種類もある上、前示のとおり、原告方においては、餡を多く使用した饅頭の売行きが良好であることを考慮に入れ、更に、饅頭一個当たりの餡の重量が六匁または六・五匁であるとする被告の主張は、前示のとおり、いずれも不合理であつて排斥を免れないということも考え合わせれば、本件においては、饅頭一個当たりの餡の重量が八匁であるとする原告の主張に従つて、餡入り和菓子の製造個数を推計することもやむを得ないものとして是認すべきである(別(二)計算(2) のとおり)。

(ロ) 次に餡の売れ残り廃棄量について判断する。

原告本人尋問の結果によると、餡入り饅頭の年間を通じての売れ残りの割合は約二〇パーセントであり、売れ残り饅頭の中の餡の大半は再生して再び新製品に使用するが、再生過程において、ロスが出るなどの理由により、そのうち約五パーセントは結局廃棄されることが認められ、<証拠省略>は原告方の製造に関するものではないから右認定の妨げとはならないし、また、右認定に反する<証拠省略>は信用できず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。従つて餡の廃棄量の割合は年間を通じて全消費量の一パーセントであると認めるのが相当である。

(ハ) 以上の次第であるから原告の本件年分の餡入り和菓子(饅頭)の売上高は別紙(二)計算(4) のとおり金一、一二五、五〇六円二五銭となる。

(2)、餡入和菓子(饅頭)以外の商品等の売上高

餅の賃づき加工賃、年間金一二〇、〇〇〇円、洋菓子年間売上高一二六、〇六四円については、その科目および額について当事者間に争いのないところ、被告は餡を使用しない和菓子の売上高は、前記餡入和菓子の売上高と同額(原告の本件年分の収入は、前記餡入和菓子の倍額に前記餅の賃づき料および洋菓子の売上高を加えたもの)である旨主張し、原告は前記餡入和菓子の売上高と餡を使用しない和菓子の売上高に前記餅の賃づき料、洋菓子の売上高を加えた額とが同額(原告の本件年分の収入は、前記餡入和菓子の倍額)であるとして争うのでこの点について判断する。

<証拠省略>によると、本件年分における原告方の売上は、餡入和菓子が総売上げのほぼ半額で、餡の入らない和菓子の売上げに餅の賃づき料、洋菓子の売上げを加えた額が残り半額であることが認められ、<証拠省略>中右認定に反する部分は措信し難く、他に右認定を覆すに足る証拠はない。

従つて、原告の本件年分の収入額は別紙(二)計算(5) のとおり金二、二五一、〇一二円五〇銭となる。

(二)、本件年分の原告の普通経費

(1)、売上原価(被告主張額金一、四三六、六〇二円、原告主張額金一、二〇八、四六二円)

<証拠省略>ならびに弁論の全趣旨によれば、本件年分の原告の売上原価は金一、二〇八、四六二円と認められ、本件全証拠に照らすも右認定を覆すに足りない。

(2)、営業経費中、減価償却費を除く、公租公課六、五〇〇円、水道光熱費三一、五五四円、旅費通信費三三、五五五円、修繕費二四、〇〇〇円、消耗品費一〇二、九四〇円、雑費三〇、〇〇〇円、諸会費八、四〇〇円については、費目、金額とも当事者間に争いがなく(別紙(一)争の有無欄参照)、減価償却費については、原告は、金一〇五、〇〇〇円と主張するが、償却の対象となるべき物件ならびにその取得価額、日時を明らかにせず一方被告主張の算定根拠について何らの認否をなさないので弁論の全趣旨により被告主張の金一二、四八七円と認定するのが相当である。

(三)、本件年分の原告の特別経費

雇人費三〇、〇〇〇円、家賃一四五、七五〇円、商人会費一二六、三五〇円については当事者間に争いがない(別紙(一)争の有無欄参照)。

四、そうだとすると、原告の本件年分の総所得金額は別紙(二)計算(6) のとおり金四九一、〇一四円五〇銭(別紙(一)裁判所認定額欄参照)をもつて正当とする(事業所得以外の所得があつた旨の主張立証はない)からこれを超える限度において原告の請求はこれを認容することとし、その余の部分はこれを棄却することとする。

よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条本文を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 仲江利政 喜多村治雄 南三郎)

表、算式<省略>

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